溶連菌感染症とは
溶連菌感染症とは
溶連菌による感染症の総称を、溶連菌感染症と言います。
溶連菌の一つが原因菌となっている「しょう紅熱」は、昔は死亡率が高い病気として恐れられていましたが、抗生剤が発明、普及したおかげで怖い病気ではなくなりました。そのため現在では、しょう紅熱も区別せず、溶連菌感染症に含むようになりました。
流行する時期、ピーク
溶連菌感染症は通年かかることのある病気ですが、特に春~夏と冬の年2回に流行します。
感染力
高熱がある時やのどの痛みが強い時には、感染力が強いと言われています。しかし、抗生剤を24時間服用することで、感染力はなくなります。
中には、溶連菌に感染しても発症しない「不顕性感染」の場合もあります。現在小学生の一割に、不顕性感染の子どもがいると言われています。
溶連菌感染症における子どもの割合
全ての年齢の人が溶連菌感染症になる可能性はありますが、8割程度を幼児、学童が占めています。最も多い年代は、5~15歳です。
何度も感染するの?
溶連菌にはいろいろな種類があるため、1度溶連菌にかかって免疫がついたとしても、違う種類の溶連菌に感染することがあります。生涯に、4~5回感染することもあるようです。
溶連菌感染症の症状
のどの痛み、発熱、発疹、イチゴ舌などの症状が

溶連菌の初期症状は、のどの痛みと腫れなどで、症状だけでは風邪と勘違いされやすい病気です。
【症状の表れ方】
・のどの痛みと腫れなど、のど風邪のような症状がでる
・39度前後の発熱
・舌が白いコケにおおわれているようになる
・首、胸、手首、足首など発疹ができ、発疹が全身に広がる
・舌が赤くてぶつぶした状態になる(イチゴ舌)
・症状が治まった後に、指先の皮がめくれる
のどの痛みなどをうまく訴えることのできない幼児では、急に39度前後の高い熱が出ることで病気に気づくことも多いようです。
発疹は、首、胸、足首、手首などの部位からできはじめることが多く、やがて全身にひろがっていきます。発疹にはかゆみがあります。
舌は、発病してすぐに白いコケにおおわれたようになりますが、3~4日すると赤くはれプツプツとした状態に変化します。これが溶連菌感染症の特徴と言われている「イチゴ舌」です。
その他にも、吐き気、腹痛、頭痛、関節痛、リンパの腫れなどの症状が出ることがあります。症状のあらわれ方には個人差があり、3歳以下の幼児や乳児では、のど風邪の症状しか出ないこともあります。治療して症状が治ってくると、指先の皮がめくれてきます。
潜伏期間
潜伏期間は、2~5日と言われています。
アデノウイルスとの違い
アデノウイルスも溶連菌感染症と同じようにのどの風邪症状で始まる病気です。特に流行る時期はなく、通年発症します。
症状には、気管支炎、肺炎、咽頭結膜熱、扁桃腺炎、流行性結膜炎、胃腸炎などと幅広く、溶連菌感染の症状とは異なります。
溶連菌感染症とは違い、アデノウイルスに感染した場合は抗生剤が効きません。
溶連菌感染症の治療法
治療は抗生剤。飲み忘れないように!
溶連菌感染症には抗生剤での治療が必須になります。抗生剤を2~3日内服すると、熱が下がり、全身の症状も落ち着いてきます。
治ってきたからといって、抗生剤を中止してはいけません。合併症を防ぐためにも、必ず処方された分を飲みきるようにしてください。
急性糸球体腎炎、リウマチ熱に注意!尿検査をする場合も
溶連菌の症状が落ち着いてから発症する合併症には、急性糸球体腎炎、リウマチ熱などがあります。
これらの合併症を防ぐためにも、前述の通り抗生剤を忘れずに最後まで飲みきるようにしましょう。また、腎炎の発症がないかどうか、後日尿検査をする病院もあります。
ホームケア
皮膚への対策
発疹はかゆみをともなうので、子どもが掻いてしまわないように爪を短くしましょう。
汗をかいたらこまめに着替えをすることも大切です。その時に冷たいタオルで優しく拭くと、かゆみを少し軽減することができます。
お風呂
高熱でぐったりしている時には、無理して入浴する必要はありません。ぬるめのお湯をしぼったタオルで拭くようにしましょう。
熱が微熱程度まで下がり子どもに元気が出てきたら、シャワーを浴びても大丈夫です。温まるとかゆみが増すので、熱いお湯を避け、ぬるめのお湯にしましょう。
食事
胃腸の働きも低下しているので、消化の良いものを選ぶようにしましょう。おかゆ、パンかゆ、うどん、くたくたに煮た野菜スープなどがおすすめです。
のどの痛みや腫れがある場合には、熱いもの、辛い物、すっぱいものなど、のどを刺激するようなものを避けるようにしてください。ヨーグルト、ゼリー、ポタージュスープなどだと、のどごしが良くて食べやすいですよ。
保育園や幼稚園、学校への登園、登校、外出
溶連菌感染症は、医師が感染の恐れがないと判断するまで、登園・登校はできないと学校保健法で定められています。
抗生剤を24時間内服すると感染の恐れはなくなりますが、発熱していたり元気がないときにはお休みするようにしましょう。
全身に発疹がある状態だと、周りの人が感染を心配したり、不快に思ったりすることもあるので、発疹が落ち着いてから外出することをおすすめします。
家族、兄弟間での感染を防ぐためにできること
溶連菌は感染力が強いため、家族間で感染してしまうことがあり大人も感染します。飛沫感染、経口感染なので、食器やタオルなどを共有しないようにしましょう。また、マスクをつけることで飛沫感染しにくくなります。
手洗いとうがいをしっかりすることも重要です。抵抗力が弱まっていると感染しやすくなるので、日ごろから規則正しい生活を送り、体の免疫力を高めておくことも大切です。
体験談:溶連菌感染症の症状と治療までの経緯

発疹が出たことにより発覚

高熱と喉の痛み

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厚生労働省・子ども医療電話相談事業
まとめ
溶連菌感染症についてご紹介させていただきました。合併症を防ぐためにも、溶連菌感染症にかかったら、きちんと完治するようにしてください。
溶連菌感染症にならないためにも、日ごろから規則正しい生活を送り、体の免疫力を高めるようにしてくださいね。
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